キレイのプロ　Beauty Marketing対談（番外編）トップセールスの仕事術〜お客様の心を動かす感動営業の秘密〜

川崎　哲也。
大手ハウスメーカー8社(ミサワホーム、パナホーム、積水ハウス、ダイワハウス、トヨタホーム、旭化成ホームズヘーベルハウス、住友林業、セキスイハイム)の中の東京地区現役トップ営業マンであり、日本コミュニケーショントレーナー協会でコミュニケーショントレーナーをしています。ホームページはこちら。Facebookはこちら。

皆さん一度は耳にしたことのある大手ハウスメーカーで販売の仕事をしている川崎と申します。

リサーチしてくださったんですね！　ありがとうございます。
はい。東京地区で32年間トップセールスマンを続けています。今まで、たくさんのお客様を笑顔にしてきました＾＾

仰る通りです＾＾

はい。日本コミュニケーショントレーナー協会、日本NLPアカデミーというコミュニケーションやNLPに関する資格取得スクールで、トレーナーやアシスタントとして受講生の方々のサポートに携わっています。

その節は大変お世話になりました。
NLPとは「神経言語プログラミング」の略称で、人の心の変化やコミュニケーションのノウハウを体系的にまとめた、いわゆる実践的コミュニケーション心理学です。「言語パターン」「行動パターン」「無意識の使い方」を研究し、誰もが簡単に実践できるように体系化したものなので、皆さんに活用していただきたいスキルです。

なんですか？

そうなんですね。

ありがとうございます。その通りです＾＾

そうなんです。公認心理士試験に合格しました！

一発合格です＾＾

日本コミュニケーショントレーナー協会の恩師の椎名先生やカウンセリング仲間との会話の中で「国家資格を取りたい」「チャレンジしてクライアントのお役に立ちたい」という話がずいぶん前から出ていたんです。

正直受からないだろうと思う部分もあったのでなかなか挑戦できなかったんですが、今年で受験資格が最後だったんです。そこで思い切ってチャレンジしてみました。

一言で言うと、NLPや心理学によって人生が豊かになったと私は捉えています。

はい。
もともとのキッカケは、住宅の営業マンということでお客様に使えるんじゃないかなと思って学び始めました。私が扱っている注文住宅って4～5000万円というとても高額なお金をお客様にお支払いいただくんですが、目の前に実物がない商品なんですよ。

そういう意味で、注文住宅を売っている営業マンって、数ある営業の仕事の中でも一番スキルが必要とされる営業じゃないかなと思っているんです。

そうなんです。そういう意味ではお客様に寄り添ってご案内する必要があるんですが、他の会社も優秀な営業マンはそろっているんですよ。

優秀なライバルと戦っていく必要があるので、自分を磨けばお客様によりアピールできるんじゃないかな、と思って講座を受けたのが最初だったんです。

最初は、お客様にアプローチするために手に入れた仕事のための武器だと思っていたんですが、NLPや心理学のスキルによって私自身を見つめなおすことができていると、段々分かってきたんです。

何でしょう？

そのことですね！　NLPについてたくさん学んだ中でも“大切な学び”の一つです。

分かりました。お話しに出た「能力×状態→成果」についての経験談をお話ししますね＾＾

以前、私が店長を務めていた展示場に、40代後半くらいの女性のお客様が一人で来店されました。いらっしゃったのが夕方5時ぐらいで、11月下旬ということもあり、寒かったのを覚えています。

そうなんです。通常は、ご夫婦だったりご家族で来られるお客様が多いんですよ。
そのお客様は他の展示場の資料がたくさん入った紙袋を両手に2袋ずつ持ってご来店されました。

最初は部下の新人営業マンが対応していましたが、15分くらい経ってから「『店長に変わって』と言われたので変わってもらえますか？」と言うんです。なのでそのお客様に挨拶をして「何かございましたか？」とお伺いしたんです。
すると「御社のメリット・デメリットを含めた住宅工法について教えて欲しい」と仰ったんです。

珍しいです。恐らく色んな会社をご覧になって知識を持ってらっしゃる方だったんですね。若い営業マンも同じ質問をされたので説明したけれども、満足できなかったんだと思います。それで私が接客を変わりました。
その状況で「工法を説明して欲しい」と言われた私は何をしたでしょうか。

ご意向を再度確認してから、「まずはお掛けいただけませんか？」と立っていたお客様にまず座ってもらいました。それから「よろしければ温かいお飲み物はいかがですか？」とご案内して、コーヒーをご用意して、横にゴディバのチョコを1個だけ載せてお出ししました。ではその後に工法の話をしたか。…しないんですよ。

「4社ぐらいご覧になったようですがいかがでしたか？」とお聴きしました。そしたら色々と話してくれたんですが、それが止まらないんですよ。内容は、それまでご覧になってきた4社のネガティブなことがずっと出てくるんです。

それを私は30分ぐらいひとしきり聴いた後に「そうだったんですね。大変だったんじゃないですか？」と言いました。それから「もしよろしければ後日詳しくご案内させていただきますが、いかがですか？」と改めてアポイントを取ったんです。

私は何をしたかというと、まずNLPのキャリブレーションをしたんです。

観察することによって「このお客様は疲れている」というのを感じたんですね。

しかも1社説明を聴くと、最低1時間かかるんですよ。4社見ているということは4～5時間話を聴いているんですね。

ここで「能力×状態→成果」に置き換えて考えてみましょうか。
この方、「能力」はあるんですよ。住宅メーカーの工法の話を聴いて理解するという「能力」ですね。ですが「状態」が整ってないんですよ。「成果」って「能力×状態」なので、この両方が整っていないと「成果」が得られないんです。

なので、まず「状態」を整えるために、座っていただいてコーヒーとチョコレートをお出ししました。その上で今の話を聴く、ということを徹底したんです。

はい。これはすごく大事なことなので、社内メンバーにも伝えています。

こういう風に、普段からNLPという技術を使っています＾＾

はい。結局8社くらい競合しましたが、最終的にはうちでご契約いただきました＾＾
さらにご紹介もしていただいて、その方のおかげで2軒の家が建ちました。

それもありますが、「状態」を整えるためには、まずキャリブレーション、いわゆる観察がすごく重要だと感じています。

ついこの間「キムタクを超えた」という話をしてもいいですか？

はい。「最近、〇〇の近くに木村拓哉さんが来て大人気だったみたいだけど、キムタクより川崎さんの方がいい」と、お客様に仰っていただきましたww
これもNLPの技術を活用して、お客様に感動していただいた事例になります。

そのお客様を仮にA様としておきますね＾＾その方も4社競合していて私が4社目でした。
A様はお父様が亡くなって土地を相続したので家を建てたいと、来店されました。ほとんどの会社は、初めて会うお客様に対してまず自社のアピールをします。そこで他の3社は他社のネガティブな情報を伝えていたみたいなんですけどね。

そうみたいです。私はそれを絶対にやらないですが…。
まあとにかく最初に自社の説明をして、それからお客様の家の計画をお伺いします。家族構成や予算、ご希望を聴くわけです。私もひとしきりお聴きして、一番最後にこういう風に言いました。

「こうやってA様が家づくりを計画しているのも、お父様が土地を残してくださったおかげですよね。お父様に感謝ですね」と声を掛けました。…A様は、目に少し涙を浮かべていました。「そういうことを言われたのは初めてだ」と。そして他の会社は断って、たった1回しか話をしていないのに当社に決めてくださったんですね。

2回目にお話しした時に「キムタクより川崎さんの方がいい」と言ってくださったんです＾＾

これもお客様の状態をベストな状態にするという一つの例です。またNLPでいうところのニューロロジカルレベルの考え方を活用した例ですね。

相手の意識レベルを５つの階層に分けた考え方です。下から環境・行動・能力・価値観・自己認識の５つに人間の意識は分かれるという考え方のことです。

そうですね。私はA様の「価値観」の部分、いわゆる大切にしているものにアプローチをすることで他社との差別化ができたんじゃないかなと思っています。

印象がガラッとひっくり返るという感じですよね。

仰る通りですww

やっぱり日々トレーニングをして、実際に使っているということが大きいと思います。

キャリブレーションしてますねぇ＾＾

そうですね、その経験を蓄えてきたと思います＾＾

先ほどのニューロロジカルレベルの考え方とペーシングを組み合わせて活用した例をお話ししますね。

二世帯住宅を検討されていたお客様のお話しです。お客様は50代の若夫婦と80代のご両親でした。

若夫婦とご両親世代の意見って必ずしも一致するとは限らないので、難しいです。

そこを合わせていくのが腕の見せ所ですね。

一般的には共用部分の打ち合わせを終えたら、後はそれぞれの世帯の要望を別々に聴いていきます。ですがこのお客様の場合は50代夫婦とずっと話をしていて、80代夫婦とはあまり話をしていなかったんです。

ですが反対はしていないだろうと思っていました。
50代夫婦に確認しても「大丈夫大丈夫」という感じでしたし、打ち合わせの間はすぐ横の和室で80代のお父様は相撲を見ていて、私が打ち合わせをしているのが見えている状況だったんです。なので直接ご両親には話しかけてなかったんですね。

そんな中で、50代夫婦とお話がまとまって、契約書を持っていった時に事件が起きました。いきなり80代のお父様が現れて「お前のところみたいな住宅なんて契約できるか！」と言われてしまったんです。

はい。最後にちゃぶ台をひっくり返されたんですww

私がびっくりしてきょとんとしている間に、向こうで50代のご主人と80代のお父さんが言い合ってるんですね。
しばらくしてご主人が私のところに来て「川崎さんごめんなさい。父は宮大工をしていたので『〇〇のプレハブ住宅なんか建てられるか！』と言ってるんです。でも今はそんな時代じゃないですよね。だから父を説得してくれませんか？」と言われたんですよ。

そう言われて了承した後、その日はそれで帰りました。

一週間に一回お邪魔して、相撲を見ているお父さんの横にちょこんと座って、ひとしきり相撲の話をした後にこんな風に聴くわけです。
「宮大工をしていたと聴きましたが、お仕事で大切にしていたことってなんですか？」とか「今までたくさんの建物に携わったと思うんですが、印象的な建物を教えてもらえますか？」とか、お父さんが大切にしていたことをずーっと聴いていたんですね。

お父さんにカタログを使った説明なんてしないんです。ただお話を聴くだけです。そんなことを4週間ぐらいやったら、こんな風に言われました。「お前のところの会社は嫌だけど、川崎が建てる家だったら住んでやってもいい」と。

はい。お父さんが人生で大切にしているものをただただお聴きしたということです。

そうだと思います＾＾

NLPを通して学んだことの一つに、「ビジョンを持って取り組む」ということを学びました。

仕事や家族、人生のどの場面でも違ったビジョンがあると思います。私の仕事においてのビジョンは「自社の家を建てることで笑顔を広げていく」というのがビジョンなんですね。

はい。なのでお客様、そして私自身の笑顔を大切にしていきたいなと思いながら、いつも仕事をしています。

住宅って人生で一番高額な買い物だと思います。住宅の営業というのは、そんな高額なものをご契約いただいて、引き渡すときにお客様から「ありがとう」と言っていただける、そういう仕事なんですよね。

短い方で半年、長い方だと2年ぐらい打ち合わせでお付き合いしますからね。その中でお客様の大切にしているものを本当に細かくお聴きし、それを実現していくとお客様は笑顔になるんですよ。

そうなんです。

はい、本当にそう思います。

実は私、めちゃくちゃ不器用なんです。

過去、自分ではコミュニケーションがめちゃくちゃできると思っていたんです。でも私がやっていたのはわがままなコミュニケーションでした。そのことに家内のおかげで気づくことができたんです。

正直言うと、家内に「コミュニケーションを学びに行かなかったら離婚する！」と言われたのが最初のキッカケです。

（笑）　当時は「あなたは会社ではコミュニケーションができているかもしれないけど、家族に対してはどうなの？」と言う感じでした。

仰る通りです。でも私からしてみれば「…え!?」という感じだったんです。「俺、実績出してるし！」みたいな感じでしたww

だけど、私が使っていたコミュニケーションってすごくわがままで自分勝手な、いかにマウントを取るかという勝ち負けのコミュニケーションに過ぎなかったんです。

もう全然違っていました。そして過去の私のように、こういうことをご存じない方ってすごく多いんですよ。

「コミュニケーションが苦手だな」と思っている方の方が勉強されているかもしれないです。

自分はある程度コミュニケーションができると思っている人ほど、実は不器用で自分の知っていることしかできない方が多いなと思います。

…そうなんです！＾＾　そして選択肢が増えるなと思います。

NOしか言えなかった人がYESしか言えなくなるわけじゃないんです。NOしか言えなかった人がYESもNOも言えるように、選択肢が増えるということなんですよね。選択肢が増えるとコミュニケーションの幅がすごく広がるし、自分も楽になります。

まさにそれです。協会で、いつも椎名先生から「失敗と思っていた体験から学び、選択肢を得て人生の幅が広がる豊さと乗り越える勇気を持つこと」と教わっています。
なので、協会でお伝えしたいことは「人生の幅を広げる」ということですね。

本当ですか？　マスクしたらキムタクを超えるかもしれませんねww

はい。さっきと同じになりますが、お付き合いする方々が笑顔になるような仕事をしていきたいですね。笑顔になるための手段は、今は家づくりですが、この先もしかしたら公認心理士という手段を使うかもしれません。どんな手段を使うにしても相手を笑顔にしていく、笑顔を広げていくという仕事をしたいなと思っています。

そうなんです。笑顔なんです＾＾

こちらこそありがとうございました＾＾