こんにちは。ideal きよさわです。
前回の「キレイのプロ」では、「お客様をファンにする“顧客体験価値”とは?」というテーマでMichieさんと対談いたしました。
前回の対談記事はコチラ!
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*第49回 :お客様をファンにする”顧客体験価値”とは!?
今回の対談では、これからの時代に欠かせない「CX(顧客体験価値)」を構成する5つの要素や、実際の事例をご紹介しました。しかし、概念は理解できても、「実際の店頭活動で、どうすればお客様の心を動かす体験を提供できるのだろう?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の「キレイのプロ」では、お客様がファンになってしまう感動体験とはどのような接客なのか、具体的にイメージしていただけるように今年1月に行われた全国大会での入賞者2名の素晴らしい接客をCX視点で分析し、明日からすぐに活かせる「お客様の心を掴むヒント」を探ってみたいと思います。テーマは、「“すごい接客”を紐解いてみよう!」です。
コラボ対談者(登場人物)
ideal 清澤美子(きよさわ)。
“愛されブランドづくり”のための商品企画、その商品の体験価値を高めるための販売スタッフ育成のサポートに携わっています。モットーは、「喜ばれることに喜びを…そしてその先へ」をモットーにしています。ホームページはこちら。Instagramはこちら。
大学卒業後、化粧品会社に入社。ヘルス&ビューティー、ファッションの企画業務に30年携わる。特にファッションではオリジナルブランドの立ち上げ、イベントの企画運営、スタッフ教育など、幅広い仕事に従事。モットーは、“商品企画も販売も、お客様視点”。お客様心理をつかむことが愛されブランドへの近道と思っています。
idealのサポーターであるMichieさんとの対談内容
「“すごい接客”を紐解いてみよう!」について、idealのサポーターであるMichieさんと対談形式でまとめました。
いよいよ開幕!接客ロールプレイング大会
こんにちは。idealの清澤です。Michieさん、「キレイのプロ」も今回で50回を迎えました。いつもありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。
うわ〜!50回ですか!!こちらこそ引き続き、よろしくお願いします。
前回の「キレイのプロ」では、「お客様がファンになる顧客体験価値(CX)とは?」というテーマで、CXとは具体的にどのようなことを指すのか、そして顧客満足(CS)とはどのような関係なのかを確認しました。CXを牽引しているスタバさんでの体験談などもあったので、イメージしやすかったのではないかなと思います。いかがでしたか?

そうですね。スタバさんが日本デビューして30年経つこと。そして、デビューしてから今もずっとお客様に選ばれ続けている理由がよくわかりました。やっぱり顧客体験価値を大切にしているからこそ、継続的なファンがずっといるんだなと納得しました。
ありがとうございます。店頭活動の中でこの顧客体験価値を意識するだけではなく、お客様お一人お一人への応対の中で、臨機応変に自分で考えて行動できる「対応力」が求められています。
そうですね。
実はMichieさん、この9月からいよいよSC協会(ショッピングセンター協会)の接客ロールプレイング中部支部大会が始まるんですよ!
いよいよ始まるんですね!ドキドキしますね。
はい。前回の記事をきっかけに、店頭活動を頑張っていらっしゃる方はもちろん、支部大会に出場される方にも、あらためて「ご自身の接客を通してお客様にどのような体験をお客様に提供できるのか」を考えていただけたら嬉しいなぁと思います。そして、今回の「キレイのプロ」でチャレンジしたいことがあるんです。
なんでしょうか?
私たち2人で、今年1月の全国大会を観に行ったじゃないですか。その時のメモってまだ残っていますか?
はい、あります。結構真剣にメモを取っていましたから。
その時のメモを頼りに、「入賞者の方の接客から私たちが感じる顧客体験価値を分析してみる」というのはいかがでしょうか?
すごくいいですね!皆さんに役に立てていただけそうですね。
ありがとうございます。では、今回は「“すごい接客”を紐解いてみよう」というテーマで進めていきましょう!
お客様の「心を掴む言葉」とは!?
それでは前回お伝えした「SC協会の審査表」や「CXを構成する5つの要素(五感・感情・知性・行動やライフスタイルの変化・帰属意識)」を意識しながら進めていきたいと思います。よろしくお願いします。


今回は、物販部門で入賞されたお二人の接客について紐解いていきましょう。まずは、「大賞」を受賞されたKさんの接客に対して、残したメモを見ていきましょう!
ジャケットの提案をされていたKさんですね。言葉遣いもすごく良く、終始丁寧さを感じました。そして何よりもジャケットを求めて来られたお客様の「ニーズを引き出す」のがすごくお上手だったなぁとメモを見ながら思い出しました。使う用途もそうなんですが、「こういう印象に見せたい」というお客様の潜在ニーズを引き出し、お客様自身が思っているものよりもさらにワンランク上の提案がすごくスムーズで、嫌味がないと感じました。
私も、接客のストーリーの作り方がとってもお上手だなぁと感じました。
お客様が思っている以上におしゃれなものを提案されていたと思うんですが、合わせ方や提案の仕方がお上手だったので、お客様もどんどん引き込まれていく印象でしたよね。
読者の皆さんにもイメージしていただけるように、私からその時の状況説明を少しさせていただきますね。接客の冒頭で、お客様がジャケットを真剣にご覧になっていたんですよね。Kさんはお客様の様子をしっかり観察した上で「かなり念入りにジャケットを見ていただいてありがとうございます」と、共感的なお声がけをされたんです。
そうそう!!
「真剣に見ているということは、きっとそこにニーズがあるんだろうな」と察して、お客様にお声がけしているんですよね。自然な会話の流れで感謝や共感をしながら、ニーズの聴き出しができていました。それから、Kさんはお客様の持ち物もすごく観察されていて、お客様が手に持っていたジャケットの裏側の柄をしっかり褒めていました。あれも距離感がぐっと縮まるポイントでしたよね。
そう思いました。さりげなく褒められることで、より心理的距離感が近くなる感じがしました。
その後に、Kさんから“衝撃の言葉”があったんですが、メモに残っていませんか?
“衝撃の言葉”……なんだろう?
「私、ジャケットの申し子とは言われてないんですけどね(笑)」って仰っていたんですよ(笑)。
あー!仰っていましたね!あれは上手でしたよね。一気に心を掴まれました!
「申し子とは言われてないけれど、自分はジャケットが得意で経験もあるよ」ということを、嫌味なくワンフレーズで上手にまとめていたのがすごいなと。あの言葉でお客様が「面白いですね」と笑って、ちょっとツンデレだったお客様の心が開いたんですよね。
本当ですね。ちゃんと「ジャケットが得意」って伝わったし、お客様との関係構築もできていましたよね。
ここまでの接客時間が、たったの「2分」だったんですよ。2分でお客様との関係性をぐっと深めていたので、ニーズの深掘りもしやすかったんだと思います。
2分で心の距離を縮める!「観察力」と「メリハリ」
そこからは、「お手持ちのジャケットの種類」「異動先の部署のイメージ」「今抱えている悩み」などをスムーズに聴き出せていました。やっぱり、お客様とのスピーディな関係構築って、大切だなぁと再確認しました。そして2つのジャケットをご紹介する際、「これ、“驚愕の羽織り心地”なんです」って仰っていたんですよね。
新しい言葉!言葉の選び方が本当にお上手でしたよね。なかなか「驚愕」とは言わない。
試着する前にそう言われたら、「うわ、何それ!?」って着てみたいと期待感が高まりますよね!「とっても着心地がいいんです」というフレーズとは、全く響き方が違いましたよね。お客様をワクワクする感情誘導がとてもお上手な方だと思いました。
確かに。絶対着たくなるし、ワクワク感が高まりますよね。
そして鏡の前でジャケットを合わせる時もすごかったです。「キメの1着なのか、長いシーズン着られるジャケットなのか、試してみませんか?」という伝え方をしていました。お客様の頭の中に「ゴール」をインプットできる言葉の運び方ですよね。その上で、「数日後にある異動先での顔合わせで、どんなイメージに見せたいのか」を確認していたので、「キリッと見せたい」という言葉をお客様から引き出せていました。この質問があったから、お客様は「キリッと見えるのはどっちかな?」という視点で、ジャケットを選ぶことができたんだと思います。
完璧ですね。Kさんの接客は、余計な言葉や回りくどい言い方がなくて、短い言葉でもちゃんと伝わる。そして、おすすめされたものが自分の思っていたものと違っても、「この人の専門性を信頼できるから、買ってもいいな。なんなら2着買いたいな」と思わせるような信頼感がありました。
言葉のチョイスや話し方によって、「楽しいコミュニケーション」の中に「確かな説明」というメリハリがむちゃくちゃありましたね。今回は8分間のロープレの中でクロージングまでは行けませんでしたが、「どちらかは買うな」という流れは完全に掴めていました。クロージングまで行かなくても、審査員は「販売促進がちゃんとできているか」を見ているので、大会出場者はクロージングにこだわりすぎなくてもいいんじゃないかと思います。
新しい自分になれる!「共感」と「ストーリー提案」
では続いて、「優勝」されたMさんの接客についてメモを確認していきましょう!
Mさんも言葉の使い方がすごくお上手でしたよね。優しい話し方でどんどん引き込まれていきました。「誕生日が近いんですよ」というアピールも、突然言われると普通は引いてしまうんですが、Mさんは全く押し付けがましくなく、逆に親近感が湧くような話し方でした。
まさにそのお誕生日のところですね。お客様が「節目なので、切り替えようかな」とボソッと言った言葉を上手に拾って、「何の節目なのか」をしっかり確認されていました。「誕生日」という言葉から「自分もそうだ」という共通点を見つけ、親近感をぐっと出していたんです。実はここまでの流れで、たったの「1分半」だったんですよ。
最初の心を掴むのが一番難しいところですよね。初めての店員さんに警戒しているお客様に親近感を抱かせるのは、本当にプロの技です。
おっしゃる通りですよね。その後、お客様が呟いた「20代から30代の節目だから切り替える」という言葉をしっかり掘り下げて、お客様に30代の新しい自分をイメージしていただいていました。Mさんの魅力的なご提案によって、お客様の感情がどんどん高まっていましたが、会場の私たちにも手に取るように伝わってきましたよね。
伝わってきました。ワンピースをおすすめされていたんですが、最後の「実は、ロングワンピースがジレ(ベスト)にもなる」という着こなしのバリエーション提案は、すごく感動しました!
そうなんですよー!前段の提案では「お客様の手持ちのブラウスに合わせる」といったものだったので“想定内”の提案でした。でも、最後の最後に「ジレとして着る」という提案は、お客様にとって“想定外”の提案だったと思います。人間って、自分のニーズに合っていれば“想定外”のことの方が印象に残りますよね。まさにその効果を感じました。また、最後のスタイリング提案からは「20代から30代に切り替わる節目だから、視野を広げて新しいことにもチャレンジしよう」というメッセージも伝わってくる、ストーリー性のある接客だったなぁと思います。
今まで着たことのないアイテムでも、チャレンジすることに抵抗感がないように、「鏡を見る自分が今までと違ってワクワクしませんか?」と想像させる言い方がすごく良かったですよね。進め方が上手すぎて、私がお客様だったら「もうこれ買います!」という完璧な流れでした。
しかも、Mさんは最後に、ダメ押しの質問もされていたんですよ。お客様がジレとパンツのコーディネートを体に当てて鏡を見た時に、「かっこいい30代の幕開けです」という背中を押す素敵な言葉の後に、さらに「なりたい自分になっていらっしゃいませんか?」と質問されていました。
なるほど!最後の念押しですね。
これを買えば今までのスタイリングも楽しめるし、新たな30代のかっこいい自分も演出できる。まさにCXの要素である「行動やライフスタイルにもたらす変化や体験」をすごく刺激する言葉でした。
明日からの接客が変わる!CXを実現するための「1つの問い」
今回、お二人の「すごい接客」の内容を、顧客体験価値(CX)の視点で紐解いてみました。Michieさんが「お客様の心を開くって難しい」とおっしゃっていた通り、入店時のお客様は「不安・警戒心・緊張」を持っています。だからこそ、いち早くお客様の心を掴み、好印象を演出する。その後はお客様の感情を盛り上げ、信頼を重ねていく。別の言い方をすると、「感情をデザインする」ということがCXにおいてとても重要だと言えます。

最後に、店頭で頑張っていらっしゃる方や、支部大会に出場される方に、CXを実現するためのシンプルなコツをお伝えしておきますね。
はい、ぜひお願いします。
接客に入る前に、自分に「問い」を立てていただくと良いと思います。
「問い」ですか?
はい。「問い」です。「自ブランドの商品と自分の接客を通して、お客様にどのようなことを体験していただきますか?」という「問い」を立てることで、「自分の強みをどう生かそうか」「自分たちのブランドを、そして商品をどのように体感してもらおうか」と自然に考えることができます。今回ご紹介したKさん、Mさんは、実はアーバンリサーチ社の方でした。アーバンリサーチ社の「企業理念」といえば、「“すごい”をシェアする」です。お二人の接客は、まさに「感動」「エネルギー」「専門性」の様々な視点から、お客様に、そして会場の皆さんに“すごい”を体験いただけたんじゃないかと思います。ぜひ「問い」を立ててお客様に向き合うことを試していただけると嬉しいです。Michieさん、今回もありがとうございました。

こちらこそ具体的に掘り下げられて楽しかったです。ありがとうございました。
<対談のまとめ>

最後に
今回の「キレイのプロ」では、Michieさんと「“すごい接客”を紐解いてみよう!」というテーマで、接客ロールプレイング大会の入賞者お二人の事例から、お客様の心を掴み、感情をデザインする「顧客体験価値(CX)」を高めるスキルをご紹介しました。
「ジャケットの申し子」や「驚愕の“羽織り心地”」といった心を動かす言葉のチョイス、そして「誕生日」という節目を捉えて新しい自分を想像させるストーリー提案など、素晴らしい接客には、お客様の警戒心を解きワクワクさせる工夫が随所に散りばめられていました。接客に入る前に「自ブランドの商品と自分の接客を通して、お客様にどのような体験をしていただくのか」という「問い」を立てることで、あなたにしかできないパーソナライズされた接客が生まれます。日々のその積み重ねこそが、結果的にお客様をファンにする“ブランド力”の創造に繋がっていくことを、お二人の素晴らしい接客から学ばせていただきました。ありがとうございました。
今回お送りした「“すごい接客”を紐解いてみよう!」のテーマはいかがでしたでしょうか。次回の「キレイのプロ」でも、皆さまの日常に活用いただける内容をお届けいたします。ぜひ楽しみにしていてください。
idealは美容業界・ファッション業界の企業様、エステサロンの皆様の“愛されブランドづくり”のために、今後もMichieさんの協力を得ながら、ブランディングサポートを提供していきたいと考えています。“愛されブランドづくり”に関するご相談、ご質問があれば、ぜひ下記よりお問合せ下さい。
