こんにちは。ideal きよさわです。
前回の「キレイのプロ」では、「どうしてる!?ブランドコンテスト実施に向けて」というテーマでMichieさんと対談いたしました。
前回の対談記事はコチラ!
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*第48回 :どうしてる!?“ブランドコンテスト”実施に向けて!?(後編)
前回の対談でも少し触れましたが、これからの時代は商品の機能や価格帯だけで他社との違いを出すことはますます難しくなっていきます。だからこそ、お客様がお店で味わう「体験」そのものがブランドらしさやブランド力に直結し、お客様と長くお付き合いできるかどうかの鍵を握っています。今、多くの企業様が「LTV(顧客生涯価値)*」の向上を目指す中で、それとセットで「CX(顧客体験価値)*」の向上という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。
※LTVとは、「顧客生涯価値(Life Time Value)」を指します。一人のお客様が、企業と取り引きを始めてから終わるまでに、どれだけの利益を企業にもたらすかを表す数字です。
※CXとは、「顧客体験価値(Customer Experience)」を指します。お客様が商品やサービスの購入前から利用中、購入後のサポートに至るすべての過程で得られる「心動かす体験や感情的価値」のことです。
しかし、「CX(顧客体験価値)」と言われても、今まで推奨されていた“CS(顧客満足)”と何が違うの?」「店頭活動の中で具体的に何をすればいいんだろう?」と、悩まれる現場のスタッフの皆さんも少なくありません。
そこで今回の「キレイのプロ」では、「どうしてる!?お客様をファンにする『顧客体験価値』とは?」というテーマで、CS(Customer Satisfaction)とCX(Customer Experience)の違いを紐解きながら、実際に「CX」を実現しているスターバックスさんの具体例などを交えて、明日からの接客に活かせるヒントをお話しします。
コラボ対談者(登場人物)
ideal 清澤美子(きよさわ)。
“愛されブランドづくり”のための商品企画、その商品の体験価値を高めるための販売スタッフ育成のサポートに携わっています。モットーは、「喜ばれることに喜びを…そしてその先へ」をモットーにしています。ホームページはこちら。Instagramはこちら。
大学卒業後、化粧品会社に入社。ヘルス&ビューティー、ファッションの企画業務に30年携わる。特にファッションではオリジナルブランドの立ち上げ、イベントの企画運営、スタッフ教育など、幅広い仕事に従事。モットーは、“商品企画も販売も、お客様視点”。お客様心理をつかむことが愛されブランドへの近道と思っています。
idealのサポーターであるMichieさんとの対談内容
「お客様をファンにする“顧客体験価値”とは!?」について、idealのサポーターであるMichieさんと対談形式でまとめました。
LTVを高める鍵!「CS」と「CX」の違いとは?
こんにちは。ideal 清澤です。前回の「キレイのプロ」では、「どうしてる!?ブランドコンテスト実施に向けて」というテーマで、コンテストの目的や定着させるためにできること、そしてメリットについてお伝えしました。Michieさん、ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。ブランドコンテストについて初めて詳細を知りましたが、知れば知るほど今の時代に必要なことだと感じました。
ありがとうございます。これからの時代は、機能や価格帯だけで商品やブランドの差別化を図ることは難しくなります。だからこそ、お客様の「顧客体験」こそがブランド力に直結すると思います。
はい。私、コロナの前に化粧品会社を退職したんですけれども、その時会社全体で「LTV(顧客生涯価値)」を高めるために、どのような商品や売り方ができるかを常に検証していました。
LT Vが高いお客様はどのような特徴があるんですか?
化粧品だけをご使用になっているお客様よりも、化粧品以外の様々な商品をお使いいただけるお客様の方が、格段にリピート率がいいんです。以前の会社は化粧品だけではなく下着や生活周りのアイテム、アパレルなども扱っていましたが、お客様のライフスタイルに合わせて、自社商品をたくさん使っていただくことで、お客様の生活に密着し満足度が上がっていきました。当時の経験を思い出しました。
ブランドがお客様とどれだけ長くお付き合いできるかは、品揃えはもちろん、いかにお客様にメリットがあるようにお伝えしていくのかという「スタッフの応対力」も大切ですよね。
本当にその通りだと思います。
今、どこの企業様も「顧客生涯価値(LTV)」の向上を目指して活動されていますが、最近私はこの「LTV」という言葉に加えて、「CX(顧客体験価値)の向上」という言葉をセットでよく聞くんです。Michieさんは聞いたことありますか?
聞いたことありますね。顧客体験価値。
Michieさん、この顧客体験価値って、店頭活動の中で具体的にどんなことを指しているのかイメージできますか?
「顧客体験」ということなので、その商品を使っている自分をイメージするとか。その商品を使うことで生活が変わったり、いつもと違う雰囲気を味わえたり、そういう「ワクワク感」を提供できることなのかなと思うんですけど、どうでしょうか。
ありがとうございます。実は私、この顧客体験価値(CX)をスタッフの皆さんに説明する際、いつも悩んでいました。ただ、お客様に一番近い場所にいるスタッフの皆さんにCX向上を目指すことを企業様が強く期待されているので、私自身もしっかり理解したいなと考えています。 そこで今回の「キレイのプロ」では、「お客様をファンにする顧客体験価値とは?」というテーマで、今まで推奨されていた「CS(顧客満足)」とはどのように違うのか、そして実際にCXを実現しているブランドがどのようなことに取り組んでいるのかを分析してみたいと思います。ご協力いただけますか?
もちろんです!お願いします。
お客様の心を動かす!CXを構成する「5つの体験要素」
CXを語る前に、今まで「CS(顧客満足)」が推奨されてきたじゃないですか。Michieさん、このCSをあえて具体的な言葉にするとしたら、どのように表現できますか?
「本当にこの人からこれを買ってよかったな」という、買った時の気持ちになるかしら。
素晴らしい。まさにそうですよね。CSとは、“お買い物をしたその時に、どれぐらい満足しているかを測る指標”です。
CSとCXって似ているので、混乱しちゃいますね。
そうそう。だから、CSは「どれぐらい満足しているかを測るための指標」と捉えるとわかりやすいと思います。

CS(顧客満足)を構成する要素を大きく3つに集約すると、「顧客期待」「知覚品質(利用した時に感じる品質)」「コストパフォーマンス」となります。まずは「何を買うか」というところに焦点が当たっているのがCSですね。

それに対してCX(顧客体験価値)は、商品やサービスの機能だけでなく、「商品の出会いから購入、その後のサポートに至るまでのプロセス全体で得られる感情的な満足感」という言葉で表せます。

なるほど。要は「買う前」から始まっているってことですね。
そうです。買った時とその後はもちろんですが、私たちって今、必ずSNSで発信されている情報を調べたり、目にしますよね。事前にインプットされて、期待感やワクワク感を持って店頭に行き、商品の機能だけでなくサポートしてくださる方の対応力など、全ての体験を含むことがCXなんです。
すごくわかりやすいです。
では、このCXってどういうもので構成されているのか確認してみましょう。アメリカの経営学者が提唱している5つの要素があります。
1. 五感に訴えかける体験
2. 喜び、共感などの感情体験
3. 好奇心や知性を刺激する体験
4. 行動やライフスタイルにもたらす変化や体験
5. ブランドやコミュニティへの帰属意識や一体感
Michieさん、この5つの要素を見てイメージできますか?

そうですね、「〇〇な体験」という言葉で繋げるとわかりやすいです。接客してもらっている時の体験も含めて、全部の体験ですよね。
そうです。接客で商品を説明されている時に五感で感じられているか、お客様と一緒に喜んで共感できているか。説明する時にお客様の好奇心を刺激できているか、といったことですね。
すごくわかりやすいです。
私たち人間は、自分の経験したことから抜け出せないじゃないですか。でも、「お客様のライフスタイルに合わせて、こんな使い方をするといつもとは異なる使い方ができるし、こんな変化もありますよ」と提案されるのが4番目です。
ここまでアドバイスされたら、もうそこに通いますね!
そして、商品購入後にお客様自身がSNSで商品の魅力や情報を発信したり友達に伝えたりすることや、購入後もそのブランドが発信するSNS情報をキャッチして使い方のバリエーションを研究するのは5番目です。そのようなお客様の体験の流れをまとめたのがこの5要素です。販売や接客をする方々は、この5つの要素を理解しておくと、自分の接客に落とし込みやすいんじゃないかなと思います。
本当ですね。
審査基準も変わる?「時代が求める接客」の変遷
次にCSとCXを時間軸で整理してみました。CSは「接客を受けている利用中」の満足度。CXは利用前・利用中・利用後の「一連の流れ(体験全体)」を包括するものです。今までと違うわけではなく、「今までのことをさらにバージョンアップしていく」と捉えていいと思います。

とってもわかりやすいです。
これを前提として、前々回お話ししたSC協会(ショッピングセンター協会)の接客ロールプレイング大会の審査項目を見てみましょう。こちらです。今年から「状況対応力」「提案力」「購買意欲の促進」といった、CXに関係しそうな項目が重視されていることがわかります。 日頃店頭に立たれる方や、ブランドコンテストに出場する方は、必ず目を通しておくことをお薦めします。

そうですね。
お客様に求められていることは、時代とともに変わっています。2026年現在は、「ブランドイメージを体現し、お客様のニーズに寄り添ったコミュニケーションと商品提案を通して、どのような体験を提供できるのか」ということが期待されていると言えます。

CXの先駆者!スターバックスの「心を動かす体験」
Michieさんに質問です。すでにこの顧客体験価値(CX)の提供を実現しているブランドもいっぱいあるわけですが、代表的だなと思うブランドをあげていただけますか?
そうですね、スターバックスさんかなぁ。
おっしゃる通りですね!スターバックスさんの第1号店(銀座)って、何年にオープンしたか覚えていますか?1996年の8月なんですよ。今年で30周年です。
へー!そんなに経つんですね。
当時私たちは商品企画に携わっていましたが、スタバさんのコンセプトって非常に画期的でしたよね。「サードプレイス」という空間価値を提供していく。商品ではなく、「その場で何を体験するのか」をコンセプトにしていて、まさに体験価値を牽引するブランドといえます。
Michieさんはスタバさんで、どのような体験をしたことがありますか?
たまにしか行かないんですが、春にスマホを見ていた時に、桜のキャンペーン広告がSNSに出てきて、それがめちゃめちゃ美味しそうだったんですよ。それにつられてスタバさんに行ったんですが、そのドリンクが全部甘かったんです。私は甘いのがあまり飲めないので、店員さんと色々話をして、「じゃあこれにしましょうか」と、ワンショット追加して甘すぎない、私の好みのカスタマイズをしてくれたんですよね。
長蛇の列なのに、アレンジを提案してくれたんですね!すごい。
そうなんですよ。店員さんがすごく臨機応変に対応してくれました。
でもスタバさんって、どこでもその品質を保っていますよね。目の前のお客様に合わせた「パーソナライズ接客」をしてカスタマイズしていくというのは、顧客体験価値の1つの要素ですね。
あと豆乳に変えてくれたり、すごく楽しかったです。会話のキャッチボールも上手で、こちらの言葉をそつなく全部拾ってくれるんですよね。
スタバさんは先陣を切ってCXを提供していましたが、「サードプレイスの空間価値」「お客様との繋がりのコミュニケーション」「多様なパーソナライズとカスタマイズ」、そして季節のプロモーションなど「リアルとデジタルを上手く使うこと」。これらを随所に入れていて、選ばれるために心を動かす体験を提供しています。すごく参考事例になりますよね。

心動かされましたね、本当に。
マニュアルなしってホント!?スタバの接客レベルが高い理由
Michieさんは、スタバさんってどんな教育をされていると思いますか?
やっぱり、あのコミュニケーション力は素晴らしいから・・・お客様のニーズを拾って、いかに早くカスタマイズのオーダーを提案するかみたいな練習ですか?しっかりとしたマニュアルがあると思います。
実はスタバさんって、「接客マニュアルがない」ってご存知でしたか?
えー!逆にマニュアルがしっかりあると思っていました。
オペレーションマニュアルや店舗管理、レシピのマニュアルはあるんですが、接客マニュアルは一切ないんですよ。なぜかというと、「スタッフさんが自主的に考えて行動することを引き出すため」なんだそうです。
それで、あんなにレベルが高くなれるんですね。なぜなんでしょう?先輩の背中を見て覚えるとか?
それも1つあります。OJT(現場教育)がむちゃくちゃしっかりしていて、その日のリーダーさんと1日のゴールをコミットして、終了時は必ずフィードバックがあるそうです。それ以外にもう1つ、すごいカリキュラムがあって……入社時にアルバイトも含めた全員が「5日間の研修」を受けるそうです。こちらの研修はどのような内容だと思いますか?
自分で振り返りをレポートする、とか?
ブー!(笑)ほぼ「ミッションに関する研修」なんだそうです。「スタバとはどういうブランドか」「何を提供するのか」という。
なるほど!ミッションを刷り込まれるんですね。身体に染み込ませていくわけだ。
そうなんです。スタバとはどういうブランドなのかが染み込んでいるから、それを体現するためにはどうすればいいのかを、その場その場で臨機応変に考えて行動できるんですね。すごいなって思いました。

それを5日間も実施するのはすごいですね。
さすがスタバさんですよね。私も初めて聴いた時、徹底しているなと思いました。ということで、今回は「顧客体験価値(CX)とはなんぞや?」ということと、実際にそれを実践しているブランドさんの事例をお話ししました。こちらの対談を読んでくださっている方も、少しはイメージしていただけたんじゃないかなと思います。
はい。こういうブランドがどんどん増えていくといいなと私も思います。
Michieさん、本日はありがとうございました!
ありがとうございました。
<対談のまとめ>

最後に
今回、idealのサポーターであるMichieさんと「どうしてる!?お客様をファンにする『顧客体験価値』とは?」というテーマで、今まで推奨されてきたCS(顧客満足)との違いや、CX(顧客体験価値)を構成する5つの要素、そしてスターバックスさんの事例から見る「心を動かす体験」についてお話ししました。
これからの時代、商品やサービスなどの機能的価値だけでお客様に選ばれ続けることは難しくなっています。「このお店で買いたい」「あの人から買いたい」と思っていただけるような、プロセス全体を通して得られる感情的な満足感、つまり「顧客体験価値(CX)」の向上が不可欠です。スターバックスさんの事例でもお伝えしたように、マニュアルに頼るのではなく、スタッフ一人ひとりがブランドのミッションを体現し、目の前のお客様に寄り添った行動を自ら考え実践していくことが、結果的にお客様をファンにする“ブランド力”の創造に繋がっていくのだと思います。
今回お送りした「顧客体験価値」のテーマはいかがでしたでしょうか。次回の「キレイのプロ」では今回の内容の続きとして、実際にCXを体現してお客様の心を動かす「すごい接客」をテーマにお届けいたします。ぜひ楽しみにしていてください。
idealは美容業界・ファッション業界の企業様、エステサロンの皆様の“愛されブランドづくり”のために、今後もMichieさんの協力を得ながら、ブランディングサポートを提供していきたいと考えています。“愛されブランドづくり”に関するご相談、ご質問があれば、ぜひ下記よりお問合せ下さい。
