キレイのプロ Beauty Marketing対談(第2回)Beauty Marketing Producerのお仕事 〜生活者視点のブランドストーリーづくり〜

後藤さん対談

こんにちは。ideal きよさわです。
4月からスタートしているBeauty marketing対談ですが、たくさんの方に関心を持っていただき、ありがとうございます。
今後も、ビューティー業界のお仕事内容や愛されブランドづくりの秘訣など、お役立ち情報を発信いたします。

今月の“キレイのプロ”は、Beauty Marketing Producer の後藤 三彩子さんです。
後藤さんは、長年、新しいブランドの立ち上げに携わっていらしたので、「ブランディングの大切さ」についてお話を伺いました。

「新ブランドを立ち上げたい」「異業種から化粧品事業へ参入したい」「美容業界でスタートアップをしたい」という方はもちろん、「リブランディングしたい」「化粧品ブランドのチャネル戦略や販売戦略について悩んでいる」という方にも、ぜひご覧いただきたい内容です。

コラボ対談者(登場人物)

ideal 清澤美子(きよさわ)。 “愛されブランドづくり”のための商品企画、その商品を販売するスタッフ育成のコンサルティングを行なっています。「喜ばれることに喜びを…そしてその先へ」をモットーにしています。ホームページはこちらInstagramはこちら

Beauty Marketing Producer の後藤 三彩子。
美容健康業界の企業はもちろん、美容業界に新規参入しようとしている企業やスタートアップ、個人事業主の方に向けて、新規事業・新商品開発、コミュニケーション開発におけるブランディングやマーケティングのコンサルティングを行っています。ホームページはこちら。 Facebookはこちら。

美容業界でBeauty Marketing Producer をしている後藤さんとの対談内容

Beauty Marketing Producer の後藤さんとの対談内容を記事にまとめました。

あらゆる角度から化粧品を見つめるプロフェッショナル

本日のゲストは、ビューティーマーケティングプロデューサーの後藤 三彩子さんです。サイエンスコスメからオーガニックコスメまで様々なビューティーブランドをサポートされています。後藤さん、自己紹介をお願いいたします。

ご紹介にあずかりました、ビューティーマーケティングプロデューサーの後藤です。美容健康業界の企業様はもちろん、そこに新規参入しようとしている異業種企業やスタートアップ企業・個人事業主の方に向けて、新規事業や新商品開発のお手伝い、それからコミュニケーション開発におけるブランディングやマーケティングのコンサルティングを行っています。

前回の松本さんと同じように、後藤さんとも長いお付き合いですね。後藤さんは化粧品メーカーでのキャリアももちろんですが、実は広告代理店のキャリアも長いんですね。

はい。私の本当の魂は大手の化粧品メーカーで叩き込まれました^^
最初は新ブランドの企画開発に10年ほど携わりました。その後広告代理店に転職して、マーケティングや戦略開発をしっかり叩き込まれて14年勤めました。

14年もお勤めになったんですね!

その後オーガニックコスメの通販事業会社で2年間、数字にシビアな通販事業を横目にPRや新しい売場の開拓なども経験し、思いがけず新しいスキルをたくさん学びました。2019年に独立して、今はフリーランスで仕事をしています。

あらゆる角度から化粧品業界のお仕事をされてきたんですね。最初は私も後藤さんと同じ会社にいたので、その時のことはよく知っていますが、広告代理店のお仕事について教えていただいてもよろしいですか?メーカーのお仕事とは全然違うと思うのですが…。

メーカーにいた時は自分が開発している商品の良さを、どうやって魅力的に伝えていくかを突き詰めて考えていました。ですが広告代理店では、それを使うお客様がどんな人なのか、どういう「インサイト」を持っているのかを突き詰めた上で、どうやって商品の「提供価値」を伝えればいいのかというところを経験しました。

インサイトというのは具体的に言うとどういうことですか?

何かを買う・何かを体験するときのその人の心理状態みたいなところですね。深層心理だったり…要するにお客様の心の中をしっかり読み解くということです。

簡単に言うと、お客様のことをもっともっと深く知ろう、ということですか?

まさしく生活者の気持ちを知るということを広告代理店ではたくさんやってきました。今ではその両方を使って仕事をしているような感じです。

なるほど。化粧品会社の中ではシーズ発想でアウトプットする。広告代理店の時は、生活者のインサイトをしっかり掴んでからアウトプットするということで、ちょっと逆方向のアプローチになりますか?

そうなんです。モノ側からの視点とヒト側からの視点という、ある意味正反対からブランドを見つめるというような、全然違うプロセスでした。それはそれですごく面白かったですね^^

そうですね!
もう一つ気になったのが、最初の会社はサイエンス系じゃないですか。最近はオーガニックコスメのブランドも積極的にサポートしてますが、ここも考え方が相反する企業ですよね。

はい。最初の化粧品会社は最先端の研究・技術力を持っているので、イノベーティブな側面をアピールしていく会社だったんですよ。

そうですよね、日本一や世界一を狙っていましたもんね。

一方でオーガニックコスメは、現代社会を広く見つめた上で人々や地球が幸せな未来を作るために、古くから伝わるものにも目を向けて、本来どういうものを使うべきなのかを突き詰めて考えているんです。

考え方が正反対ですね。

それぞれに信念と社会的意義をもってやっている。両方あってしかるべき世界なのかなと思いながら、それぞれの良さや特徴、それを必要とするお客様のことを見つめながら仕事をしています。

なるほど。ありがとうございます。ブランドに関してもモノづくりに関しても、異なる視点からの考え方を経験してきた後藤さんならではの強みですね。さらにお仕事の話を伺っていきたいと思います。

歴史に残る、唯一無二のブランドづくり

現在お仕事で大切にされていることはどのようなことですか?

そうですね。やはり向き合っているお客様とその先にいるエンドユーザーのお客様が喜んでくださることが私の喜びだなと感じています。これは清澤さんと同じ「喜ばれることに喜びを」が私の一番のDNAです。

やっぱり「喜ばれることに喜びを」は私たちのDNAですよね^^

そうなんですよね。それを突き詰めて、みんながハッピーになる方法を考えた時に、事業者の思いと生活者の願いをどうやってつないでいくかというところがすごく大切だなと思っています。

事業者の思いと生活者の願いをつなぐって、すごく大切ですね。

そこがピタッと繋がったブランドが、本当に歴史に残るような唯一無二の価値やストーリーを持つブランドになると感じています。そして、それをクライアント様と一緒に作り上げるのが私の仕事だと考えています。

今ストーリーという言葉が出てきたんですが、まさに後藤さんの屋号が「STORIA」でしたよね?

はい! STORIAというのはイタリア語で「歴史」や「物語」という意味なんです。やはり一本筋の通った軸のあるストーリーを持ったブランドは、歴史を残せるブランドなんじゃないかなと思い、屋号にしました。

ブランドと生活者、両方から見つめることで伝わる魅力

その「歴史に残すブランドづくり」で大切にされていることをお伺いできますか?

はい。自分がクライアント側の立場にいてもそうなんですが、だいたいのクライアント様が、自分のブランドやプロダクトを主語にして事実や研究技術力などを語られます。

はい、確かにそうですね。

そこを一旦生活者目線に置き直して、使い手であるユーザーを主語にベネフィットベースでブランドストーリーを組み直すということをしていきます。これが私のブランドストーリー作りです。

後藤さんが大切にされているブランドストーリー作りの考え方、すごく共感ができます。私の行っている「愛されブランドづくり」のステップと同じです^^

そうなんですよね。やっぱりお客様へのブランドの提供価値を突き詰めていくっていうところが愛されブランドになれるかどうかの分岐点だと考えています。

そうですよね。今、化粧品業界は成熟市場で、星の数ほどブランドがひしめき合っているからこそ、ブランディングが大切ですね。

そうなんですよ。世の中にあるブランドの中で、ちゃんと光輝いてお客様に選んでいただくためには、単にプロダクトの効果や機能の話をするだけでは、なかなか違いまで分かってもらえないことが多いと思います。

その通りです。

やはりそのブランドが大切にしている信念や世界観をしっかり伝える。また伝えるだけではなく、生活者の共感を得て自分ごととして捉えてもらえるかというところがすごく大切だと思っています。

すごく共感します。私も実際に販売員の方々へのサポートをする時に、やはり生活者の方々がなにを求めているのかというところを非常に大切にしています。
生活者が自分ごととして捉えるということ、すごく大切だなと思います。

ブランドの軸を突き詰めるための驚きのワークとは?

さて、具体的にどのようなコンサルティングをされているんですか?

どのようなお手伝いをするときでも、ブランドの軸作りをしっかりしていくことが大切だと考えています。

ブランドの軸というのは具体的にどういうことですか?

「ブレない信念」や「提供価値」というところですね。そこをブランドストーリーとしてちゃんと軸に持っておくことで、その後の広告・宣伝や販売戦略がブレ・ズレなく作れるんです。

なるほど。

そのためにいつも行っているのは、マネジメント層から新人スタッフの方まで同じ立場でディスカッションしてもらうという、ブランドコンセプトワークというものを大切にしています。

後藤さん対談写真②

新人からマネジメント層までですか!

はい、横並びでワークに取り組んでいただきます^^

すごいですね! そんな機会、そうそうないですね。

社内の誰かが音頭を取ると話しづらくなるところを、外の人間がファシリテーションすることで、皆さんが同じ立場で自由に意見を言いやすくなるんだと思います。

私も以前は商品企画をやっていたので、コンセプトワークはよくやっていましたが… 。新人スタッフからマネジメント層まで集めてのコンセプトワークってどんなことをやられているんですか?

シンプルに言うと、「誰に」「どんな価値を提供するのか」というこの2つのポイントを突き詰めていくんです。

誰に、と言うのはターゲットをまず明確にすると言うことですか?

そうです。ターゲットのプロフィールを明確にするだけじゃなくて、ひとりの生活者としてのお客様のインサイトですね。ドラマが作れちゃうくらい徹底的に深堀りします^^

ターゲットを明確にした後はどういうことをするんですか?

そのお客様にとって、ブランドのスペックや機能・技術がどんな価値になるのか、その提供価値を、単なる機能価値だけでなく、情緒価値や社会価値の階層まで整理していきます。

なかなかメーカーの方々ってそこを整理するのは苦手ですよね。

「肌がこうなります」といった機能価値までは言えるんですが、その先まで突き詰めて考えることがなかなかないんですね。

使うとどんな気持ちになれるのか、使うことでお客様が今よりも幸せな毎日と人生を送っていけるんだろうか、というところが大切ですよね。

やっぱりブランドはお客様に愛されて長く続いていくものでなければいけない、と思います。なのでお客様の人生に寄り添っていくということを想像して、ちゃんと整理しておくということが重要だと思っています。

そうですね。愛されブランドを創るということは企業にとって、お客様と長く付き合っていくという心の準備が必要になりますよね。

本当にそうだと思います。

実際にそういう体験をおこなった企業様の反応はいかがですか?

色んな階層の方が同じ立場でお話をすると、立場や経験によって視点や考えていることが全然違うんです。その違う見方や考え方を棚卸ししながら進めていくということがすごく新鮮だという事でした。また、すごく発見が多いというお声もいただきました。

そうですよね!私もずっと心理学を勉強していて仕事にも取り入れてますが、自分が考えていることと相手が考えていることは全く異なるし、そこを擦り合わせる機会もそうそうないですからね。

そうなんです、意外と違うんですよね。

同じブランドで同じものづくりに携わっていながらも、やっぱり違いますよね。

はい、その違いが発見や学びになるんですけどね。そういうことを経て、ターゲットや提供価値についてとても深い議論をしていきます。それがとっても新鮮に感じていただけているようです。

では、ターゲットのペルソナや提供価値構造をスタッフの皆さんとしっかり共有することによって、皆さん自身が改めて気づきが得られるということなんですね。

これをやることで、クライアント様の社内での意思統一や一体感がすごく高まるというお話をよくいただきます。一度やると病みつきになるみたいで、また同じクライアント様から違うブランドでリピートいただくことも最近増えています^^

すごくイメージができますね。絶対意思統一ができるし、一体感が出ると思います。

買ってもらった後の絆づくりをサポート

ありがとうございます。現在後藤さんが行っていることはブランドの核・企業の核を作るお仕事だと思うんですけれども、その核を作った上で今後どのようなお仕事を展開していきたいですか?

まずはブランドストーリーをクライアント様と一緒に作り上げていくことはこれからも大切にしたいです。その上で、広告代理店勤務の経験を活かして、それを客様にとっても素敵な出会いと思ってもらえるような心に刺さるクリエイティブやメッセージを開発するお手伝いをしていきたいです。

素敵ですね^^

また、すごく重要なことは、お客様に購入して良かったと思っていただくことです。やはりずっと使い続けていただきたいので、買ってもらった後の絆づくり=CRM領域のコミュニケーションの大切さを、コロナ禍を機にWeb通販に取り組むようになってきた企業様にも、今後、しっかりお伝えしていきたいと考えています。

後藤さんは、通販化粧品の経験もありますから、企業の方々にとって強い味方ですね。

ありがとうございます。

私も販売の方々にはブランドの軸やストーリー、提供価値をわかってもらった上で、その価値をちゃんとお客様に伝えられるような接客をするようにお話ししています。なので、ぜひ今後も後藤さんと上手くコラボレーションしながらブランドの核づくりのお仕事していきたいと思います^^

こちらこそよろしくお願いいたします^^

後藤さん、すごく素敵なお話しありがとうございました。最後に一言お願いいたします。

どんな企業様でも一つのブランドに長く向き合っていると、その良さを見失ってしまって、どうしていいかわからなくなる時が訪れることもあります。

はい。

新しい商品を開発する時も、同じように迷ってしまうこともあると思います。その時お勧めしたいのが、その商品をどんな人に届けたいのかというターゲットインサイトをもう一度考えてみるという作業です。

そこを徹底的に深堀りすると仰ってましたね。

ターゲットにどういうところで喜んでもらいたいのかを一度整理をしてみると、また「ブランドの軸」が取り戻せるはずです。その軸を中心に色んな戦略や戦術が開発できるようになるので、「ターゲットインサイト」と「提供価値」を定期的に見つめてみるといいのかなと思います。

ありがとうございました!「ブランドの軸」をしっかりと作っていくことによって、そこからブランドストーリーを展開できるというお話でした。後藤さん、本当に今日はありがとうございました!

ありがとうございました!

対談まとめ>

【まとめ】清澤さん後藤さんとの対談 20220419.png

<対談の様子>

後藤さん対談写真③-2

最後に

今回、後藤さんにはブランドづくりの中で、最も大切な「ブランドの軸づくり」について伺いました。

「誰に」「どんな価値を提供するのか」を突き詰めることは、商品企画に携わる方だけではなく、ブランドに関わる全ての方にとって大切なステップであると再確認できました。
ありがとうございました。

idealは美容業界・ファッション業界の企業様の“愛されブランドづくり”のために、今後も後藤さんの協力を得ながらブランディングサポートを提供していきたいと考えています。

“愛されブランドづくり”に関するご相談、ご質問があれば、ぜひこちらよりお問合せ下さい。